ジャーナル

世界成人14億人に運動不足による疾患リスク、WHO調査

世界で成人の4人に1人が運動不足による疾患リスクに直面しているとみられることが、世界保健機関(WHO)の研究チームの調査で明らかになった。14億人を超える成人が座りがちな生活による運動不足が原因で心疾患や糖尿病、認知症、一部のがんを発症しやすい状態にあるという。詳細は「The Lancet Global Health」9月4日オンライン版に掲載された。

WHO非感染性疾患予防部門のRegina Guthold氏らは今回、世界168カ国、計190万人の18歳以上の成人を対象に実施された358件の調査データを用いて、国や地域別の運動不足の人の割合について分析を行った。

その結果、2016年には世界の女性の約3人に1人(31.7%)、男性の4人に1人(23.4%)が推奨される身体活動レベル(中強度運動を週に150分以上または高強度運動を週に75分以上)に達していないことが分かった。また、東アジアと東南アジアを除く全ての地域で、女性は男性に比べて運動量が少ないことも明らかになった。

そのほか、高所得国では、2001年から2016年にかけて運動不足の成人の割合は約5ポイント増加し36.8%に達したのに対し、東アジアや東南アジアといった低所得国では0.2ポイント増の16.2%にとどまっていた。この結果について、Guthold氏らは、高所得国ではデスクワークなどで座りがちな仕事が増えたことや車社会の発達で運動不足が加速しているのではとの見方を示している。

これらの結果を踏まえ、Guthold氏らは「自転車や徒歩で通勤したり、積極的にスポーツを楽しめるようなインフラ整備を国レベルで進めることが重要だ」と指摘している。論文の共著者でWHO同部門のFiona Bull氏は、こうした取り組みにおいては、特に女性が運動できる環境を整備して運動量の男女差を解消することが不可欠だと付け加えている。

この研究論文の付随論評を執筆したシドニー大学(オーストラリア)のMelody Ding氏によれば、一部の国や地域では女性が運動するのを妨げる社会的、文化的な障壁があり、例えば、女性の活動が著しく制限されるサウジアラビアやイラクでは成人の約半数が運動不足であると推計されるという。同氏はまた、「今回の調査では低所得国よりも高所得国で運動不足の蔓延が深刻化しているという結果が得られたが、運動不足に関連する疾患の負荷は低中所得の国でより大きいことにも注意が必要だ」と話している。

[2018年9月5日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights

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