ジャーナル

10代後半の飲酒で高悪性度の前立腺がんリスク増

10歳代の後半に1日1杯以上の飲酒をしていた男性は、全く飲酒をしなかった男性に比べて後に悪性度の高い前立腺がんになりやすいことが、新たな研究で示唆された。また、生涯の飲酒量が多いことも前立腺がんリスクの上昇と関連することが分かったという。詳細は「Cancer Prevention Research」8月23日オンライン版に掲載された。

この研究は、米ノースカロライナ大学公衆衛生大学院のEmma Allott氏らが実施したもの。同氏らは、2007~2018年に米ダラムの退役軍人病院で前立腺生検を受けた男性650人を対象に、質問票を用いて週当たりの飲酒量を尋ね、年代別や生涯の飲酒量と前立腺がんリスクとの関連を調べた。参加者の年齢は49~89歳で、前立腺がんの既往はなかった。

参加した男性のうち325人が前立腺がんと診断され、そのうち88人は高悪性度と判定された。参加者を週当たりの飲酒量で3つの群(飲酒なし、1~6杯、7杯以上)に分けて前立腺がんリスクを比較したところ、15~19歳の間に週7杯以上の飲酒をしていた男性は、飲酒をしなかった男性に比べて前立腺がんリスクが高いことが分かった(オッズ比は3.21)。20歳代や30歳代、40歳代に週7杯以上の飲酒をしていた男性でも同様の結果が得られた。

また、生涯の飲酒量も前立腺がんリスクと関連しており、参加者を生涯の飲酒量で3つの群に分けて検討したところ、最も飲酒量が多かった群で高悪性度の前立腺がんリスクが高かった(オッズ比は3.20)。一方で、現在の飲酒習慣と前立腺がんリスクとの間に関連はみられなかった。

この研究は飲酒が前立腺がんの原因であることを裏付けるものではない。また、今回の研究方法には、自己申告した飲酒量であったことや喫煙習慣などが結果に影響した可能性があること、対象者の数が少ないなどの限界があったことをAllott氏らも認めている。さらに、この研究では10歳代半ばから飲酒の習慣を続けた場合の前立腺がんリスクへの影響については考慮されていなかった。

しかし、Allott氏は「若年期の飲酒は体に何らかの影響を及ぼす上に、前立腺は10歳代後半に急速に成長することから、この時期は体が発がん物質の影響を受けやすい可能性が考えられる」と指摘する。そのため、今回の結果を受けて、成人期だけでなく生涯を通した飲酒の習慣が前立腺がんのリスク因子として今後、注目されるようになることが期待されるとしている。

専門家の一人で米ハーバード大学医学部放射線腫瘍学教授のAnthony D’Amico氏も、Allott氏らの研究は因果関係を証明するものではなく、男性ホルモンの働きを抑える薬剤の使用なども前立腺がんの原因になると指摘している。また、今回の参加者が前立腺がん検診を受けていたかどうかも明らかでなく、「検診を受けていない場合、発見されたときには前立腺がんが進行していた可能性も考えられる」と話している。

[2018年8月29日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights

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