ジャーナルダイエット 健康

「朝食は遅め、夕食は早め」が肥満予防に有効?

朝食や夕食を取るタイミングを変えて、1日の中で食事を取る時間帯を制限するとカロリー摂取量を抑えられ、脂肪を減らせる可能性があることが、英サリー大学時間生物学・統合生物学のJonathan Johnston氏らが実施した小規模な予備的研究から明らかになった。この研究結果は「Journal of Nutritional Science」8月30日オンライン版に発表された。

今回の研究では、普段よりも朝食の時間を90分遅らせ、夕食の時間を90分早めて食事を取る時間帯を制限すると、1日当たりのカロリー摂取量が25%減り、普段通りの時間に食事を取っていた人と比べて体脂肪も2倍以上減少することが分かった。「食事はその内容だけでなく、タイミングも重要だ。食事を取るタイミングは研究テーマとしてはまだ新しいものだが、食習慣を少し変えるだけで健康になれる可能性があるため有望だ」とJohnston氏は説明している。

これまで、1日のうちで食事を取る時間帯を制限すると代謝が促進されることは動物実験で示されていた。しかし、ヒトでも同様の効果がみられるかどうかは不明だった。そこで、Johnston氏らは今回の予備的研究で、ヒトを対象に食事を取る時間帯を制限することの効果について検討した。

研究では、9人の男女に朝食の時間を普段より90分遅らせ、夕食の時間を90分早めてもらった。ただし、決められた時間内であれば食べる回数は制限しなかった。また、対照群とした7人には普段通りの時間に食事を取ってもらった。なお、参加者には血液検査に加えて、研究実施前から期間中に食事日記をつけてもらった。

その結果、10週間後には、食事を取る時間帯を制限した群では体脂肪が2%減少したのに対し、対照群では1%未満の減少にとどまっていた。また、1日当たりのカロリー摂取量も、食事を取る時間帯を制限した群では2,091kcalから1,553kcalに減少した。研究終了後に実施した質問票による調査から、時間帯を制限した群の参加者では「食欲が低下した」「間食の機会が減った」ことなどを理由に食べる量が減る傾向にあったことが分かった。

この理由について、Johnston氏は「時間帯を制限することで自分の代謝リズムに合ったタイミングで食事を取るようになった可能性がある。また、1日のうち空腹で過ごす時間が増えたことも要因ではないか」と推測している。

しかし、こうした食事時間の制限を守り続けるのは難しい場合が多いようだ。今回、食事する時間帯を制限した群の参加者の57%は、家族と時間が合わない、社会的な付き合いが難しいといった理由から長期間続けられなかったと回答していた。一方で、残る43%は「もっと柔軟に実践できるのであれば継続も考えたい」と前向きな考えを示していたという。

一方、今回の研究について、専門家の一人で米メイヨー・クリニック・ヘルスシステムの管理栄養士であるGrace Fjeldberg氏は「研究で実施された食事時間の制限は、間欠的な絶食の一種とも言える。しかし、絶食で短期間に減量できたとしても健康に良いとは限らず、減らした体重を長期間にわたり維持するのは難しいことも多い」と指摘する。米ジョンズ・ホプキンス・メディスンのSusan Carnell氏も「こうした食事法の減量効果については、より大規模な臨床試験で検証する必要がある」と話している。

[2018年8月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です